男性「定年までいた方が2000万円以上もらえるし、今辞めるのは大損なんじゃないか……」



多くの幹部自衛官が「退職金2000万円」という目の前のニンジンに縛られ、キャリアチェンジの機会を逃しています。これを経済学用語で「サンクコスト(埋没費用)への執着」と言います。
確かに、若いうちに自己都合で辞めれば退職金は雀の涙です。しかし、民間企業で65歳、70歳まで現役で稼ぎ続けることができれば、自衛隊の「若年定年(50代半ば)」による収入減をカバーし、総額で逆転することは十分に可能です。
この記事では、年齢別のリアルな「自己都合退職金」のシミュレーションと、辞めても損をしないための「生涯年収の逆転ロードマップ」を解説します。
これを読めば、退職金という「手錠」を外し、長期的な視点で一番お金持ちになれるキャリア戦略が見えてきます。
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この記事を書いた人
安定を成長に変える公務員キャリアチェンジ専門アドバイザー。元幹部公務員(退職時 自衛隊3等空佐(航空幕僚監部所属))。
33歳で【未経験】からハイエンドなセキュリティコンサルティングファームへ転職。年収910万円(公務員当時)→ 年収1,200万円(コンサルファーム入社当時)へ大幅アップ。
フルリモート&裁量労働で、年収アップと理想のワークライフバランスを達成。1級ファイナンシャルプランナー。



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【残酷な現実】幹部自衛官が「自己都合」で早期退職した時の退職金額
まず、現実を直視しましょう。定年まで勤め上げた場合の退職金(約2000万〜3000万円)とは異なり、自分の意思で途中で辞める「自己都合退職」の場合、支給額はガクンと下がります。



① 20代(勤続10年未満)で辞めた場合:数十万円〜100万円程度
任官して数年、あるいは10年未満で辞めた場合、退職金は「ない」か「お小遣い程度」だと思ってください。
自己都合退職の場合、支給率(掛け率)が非常に低く設定されており、さらに「調整額」と呼ばれる加算金も勤続9年以下では支給されません。
- 勤続5年(27歳・2尉想定): 約60万円〜80万円程度
- 勤続9年(31歳・1尉想定): 約100万円〜150万円程度
これでは、転職活動中の生活費や引越し費用で消えてしまいます。「退職金をあてにする」という考えは捨ててください。
② 30代(勤続10年〜20年)で辞めた場合:300万円〜600万円程度
勤続10年を超えると「調整額」が半分だけ支給されるようになり、金額が少し増えます。しかし、それでも定年退職に比べれば微々たるものです。
- 勤続15年(37歳・3佐想定): 約300万円〜450万円程度
- 勤続20年(42歳・2佐想定): 約600万円〜800万円程度
「これだけあれば住宅ローンの足しになるかも」と思うかもしれませんが、定年までいれば2500万円もらえたはずの権利を放棄するわけですから、単体で見れば「大損」です。
③ 「若年給付金」は自己都合退職では1円も出ない
自衛官特有の「若年定年退職者給付金」。定年が早い代わりに支給されるボーナスですが、これはあくまで「定年」まで勤めた人への補填です。
中途退職(依願退職)の場合は、1円も支給されません。 ここを勘違いして計算に入れていると、ライフプランが崩壊します。
それでも辞めるべき?「生涯年収」で比較するシミュレーション
「じゃあ定年までいた方がいいじゃん」と思いましたか? ここで重要なのが「時間軸」です。自衛官の定年は早く(54〜56歳)、その後の再就職先は給料が激減します。一方、民間企業は60歳、65歳、あるいは70歳まで現役で高年収を維持できる可能性があります。



① シナリオA:自衛隊に定年(55歳)まで残る場合
- 55歳までの給与: 安定して上昇。年収800万〜900万(幹部)。
- 退職金+若年給付金: 約3000万円(一括支給)。
- 56歳〜65歳の再就職: ここが落とし穴。 自衛隊援護協会の斡旋でも、年収は300万円〜400万円台に激減することが多い。
【結果】
55歳で「小金持ち」にはなれますが、その後の10年〜15年は「年収ダウン」に耐えながら働くことになります。老後の資産形成は退職金頼みになります。
② シナリオB:30代で民間の成長企業へ転職する場合
- 転職直後: 一時的に年収ダウン(600万前後)の可能性あり。退職金は微々たるもの。
- 40代〜50代: 実力次第で年収1000万円オーバーも可能。役職定年も60歳までない企業が多い。
- 60歳〜70歳: 専門スキル(コンサル、セキュリティ等)があれば、顧問やアドバイザーとして高単価で働き続けられる。
【結果】
退職金という「一時金」は失いますが、年収ベースで「+200万〜300万」を20年以上積み重ねれば、総額で4000万〜6000万円の差がつきます。 これで退職金の損失(2000万円)を余裕で回収し、さらにお釣りが出ます。
③ 結論:働く期間が長いほど「民間転職」が有利になる
人生100年時代、60歳以降も働くことが前提の社会です。「55歳でキャリアが終わる(一線から退く)」自衛官モデルよりも、「65歳まで現役バリバリで稼ぐ」民間モデルの方が、最終的な手取り額は多くなるケースが増えています。
「目先の2000万円」を惜しんで、その後の「稼げる30年間」を棒に振るのが、最大のリスク(機会損失)なのです。
辞めても損しない!生涯年収を最大化するための「3つの条件」
とはいえ、適当に転職して年収が上がらなければ、ただ退職金をドブに捨てただけになります。生涯年収で勝つためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。



① 昇給率と平均年収が高い「業界」を選ぶ
年収の天井は、個人の能力よりも「業界」で決まります。警備業界や運送業界に行けば、どれだけ頑張っても自衛隊時代の年収を超えるのは難しいでしょう。
コンサルティング、IT、金融、商社といった「利益率が高く、平均年収が高い業界」を選ぶこと。 これが、退職金の損失を給与でカバーするための絶対条件です。幹部自衛官のスキルが活きる高年収業界については、以前のランキング記事を参考にしてください。
② 「退職金制度」や「確定拠出年金(401k)」がある企業を選ぶ
最近は退職金がない企業も増えていますが、大手や外資系では「確定拠出年金(企業型DC)」などで手厚く老後資金をサポートしてくれるところがあります。
転職エージェントに確認し、「退職金制度の有無」や「マッチング拠出(会社が掛金を上乗せしてくれる制度)」がある企業を選べば、自衛隊の退職金に近い額を、自分の運用で作ることも可能です。
③ スキルという「人的資本」に投資し続ける
自衛隊にいると「階級」が資産ですが、民間では「スキル」が資産です。英語力、マネジメント力、ITスキル、資格(MBA、中小企業診断士など)。これらを磨き続けることで、あなたの市場価値は下がりません。
「会社にぶら下がる」のではなく、「自分の名前で稼ぐ」力をつけること。 そうすれば、60歳を過ぎても顧問契約や社外取締役としてオファーが絶えず、死ぬまで現役で富を生み出し続けられます。
まとめ|退職金は「手切れ金」ではない。「未来への投資資金」だ
この記事では、幹部自衛官の早期退職金と、生涯年収シミュレーションについて解説しました。
重要なポイントを以下の表にまとめます。
| 項目 | 早期退職のマネー戦略 |
| 退職金 | 30代で辞めると数百万円。2000万円以上の損失確定。 |
| 若年給付金 | 自己都合退職では0円。あてにしてはいけない。 |
| 逆転の鍵 | 「生涯年収(フロー)」で「退職金(ストック)」を上回る。 |
| 勝てる条件 | ①高年収業界へ行く、②65歳まで現役で働く、③スキル投資。 |
| 結論 | 長く働くなら、民間の方が総額で得をする可能性が高い。 |
「退職金を捨ててまで辞める価値があるのか?」
その答えは、あなたが**「これからの人生でどれだけ稼ぐ気概があるか」**にかかっています。
安定した老後(退職金)と引き換えに、あなたは「青天井の可能性」を手に入れます。
その数百万円の退職金を、ただの生活費にするのではなく、新しいキャリアを築くための「軍資金(自己投資)」として使ってください。
そうすれば数十年後、「あの時、勇気を出して辞めて本当によかった」と、豊かな老後を過ごしながら笑える日が必ず来ます。
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